日本式庭園
Nさんの娘さんの車で尚古荘へ。美しい朝の光の中、ふたたび撮影を行いました。
こぢんまりとしているけど、見事な日本式庭園です。撮影の途中、しばし手を止め、美しさに見とれてしまいました。
僕はふと、「風景」と「感動」の関係について考えてみます。
例えば京都。僕は紅葉の素晴らしい時期に街を巡ったことがありますが、どこに行っても、魂が吸い込まれていくような感動を味わったことは一度もありません。もちろん、ヨーロッパの有名な古城や教会も同じです。
それは何故か? 答えは簡単、とにかく観光客が多いからです。
だから、いわゆる観光地と呼ばれる場所はどうしても好きになれない。一人になることができる、つまり本当の意味での感動を味わうことができる、大自然やカントリーサイドを愛するのはそのためです。
ヨーロッパでも、小さな小さな村に行き、朝の光に照らされて、石畳の道を歩いていく……って、もう最高の気分になるんですよ。
いずれにしても、世界中どの場所でも「僕以外の観光客はいない方がいい」というのは、実に自分勝手な考え方です。でもお許しください。芸術家って、わがままだからこそ、芸術家でいられるのだと思います。
……と、話が横道にそれました。
お昼には撮影は無事に終了。Nさんと別れた僕は、3時の新幹線に乗り、東京へ向かいました。
車内では、沢木耕太郎の『凍』(新潮社刊)を読みます。いや〜、これは素晴らしいノンフィクションですね! 富士山の存在にも気づかず、いっきに3/4まで読んでしまいます。沢木氏の作品はすべてチェックしていますが、その中でもピカイチだと思いました。