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2008年1月 4日 (金)

印刷品質の低下

近頃、気になることがあります。それは、各出版物の写真印刷の悪さです。我が家には毎月何十冊もの雑誌や広報誌、パンフレット類が届きますが、中には「えっ、これって一昔前の印刷では?」と首を傾げたくなるようなヒドイ色味の印刷物があったりもします。
原因ははっきりしています。多くの写真家が、デジタルカメラを使うようになったからです。
確かにデジタルカメラが生み出す絵はシャープで、パッと見た時、「えっ、これって大型カメラ?」と驚きます。でも厳密に言うと、作品にグッと引き込まれるような深みがないし、黒の締まりもありません。(暗部が出過ぎてしまう)。そして色味はまだまだ不安定。特に緑がダメです。(黄緑に転ぶ傾向あり)
もちろん上記の問題点はレタッチという方法でいくらでも修正可能ですが、その修正データが印刷物にストレートに反映されることはまずあり得ないのです。RGBと印刷のCMYKとはまったく別物ですから。
おそらくデジタル画像は、RGBのまま最終工程までいく、というスタイルがベストかもしれませんね。そう、インクジェットで出力するという表現方法が一番適しているのです。写真展などでエプソンやキヤノンの大型インクジェットプリンターで出力した作品を見ると、もの凄く美しいですよね。
毎月毎月、奇妙な色味の印刷物を目にする度に、「これって、どうにかならないのかな〜」と考え込んでしまうわけですが、写真家がフィルムカメラに戻らない限り、解決策はないのでしょう。
もちろんこの問題は、雑誌を生み出す側、つまり編集者も理解しています。クオリティーを求められるグラビア雑誌を中心に、デジタルカメラ使用禁止令を出している編集部もだいぶ増えてきました。当然、料理写真はまだまだフィルムがメインです。
おそらく今、写真家に求められることは、フィルムとデジタル、その両方のよさを認め、用途によって使い分けていく、ということだと思います。僕はしばらくこのスタイルで頑張ります。
まあでも一つの救いは写真雑誌ですね。たとえデジタル画像を使っていても、印刷のクオリティーはいい線までいっています。編集者や印刷会社の担当者は、デジタルの欠点をよく理解しているので、写真の色出しは慎重になっているのです。
日本のすべての印刷物が、写真雑誌のように究極の色味を追求していくようになれば、デジタルの未来も明るいのでしょう。でもあと数年は掛かるでしょうね。

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コメント

すべての印刷物を作品と思い印刷しています。
そんな、バカな会社のバカな営業です。
でも、チラシ一枚にしても丁寧に色を調整し、その作り手がイメージをもつ色を印刷で表現したいと思っています。儲かりませんが(笑)
そんなこだわった印刷をづっとやっていくつもりです。それが会社の方針だし、自分もその印刷物のファンですから。
それを、求めてくれる人がいてうれしいです。

デジカメで撮影されたフラワーなどを見るたび
くっきり、ハッキリしてはいますが、
なぜか造花のようです。小生もスタジオで撮影しましたが、こういう場面でFILMとの距離感がでてきるように思えます。

はじめまして。写真家になりたい大学生です。いつも勉強になります。
頑張ってください!

高級デジタル一眼レフの新製品雑誌のサンプル画像ですら、薄いベールがかかったように見えます。色目に関しては、特にミドリ色が一本調子で、「木々がおいしそうに見えない」気がしますね。 今、松阪慶子さんの朗読(赤毛のアン)の部分をVTRで観ていました。最高です。

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