朝、昨日の滝に足を運んでみます。
今日は誰もいません。おまけに風景全体に光が柔らかく回るパーフェクトな曇り空。心の余裕を持ってシャッターを切ることができました。
塩尻北インターから高速に乗り、諏訪へ移動。
諏訪大社、素晴らしいですね!
神社の撮影は曇りか雨がベストです。晴れると、巨大な杉林に太陽光が差し込み、シャドー部とハイライト部のコントラストがつきすぎてしまう。これを肉眼で見たように綺麗に撮れるカメラは、現状ではありません。中間部分に露出を合わせても、ハイライトかシャドー、どちらかが崩れてしまう。ラチュードの幅が広いネガフィルムを使っても、同じでしょう。
デジカメの中には、違った露出で3枚ほぼ同時に撮影し、それを1枚に合成する機能があります。それを使えば肉眼に極めて近い仕上がりになりますが、やはりどこか違和感がある。
だから神社は、光が均等に回る、曇りか雨に撮るのがいいのです。
撮影後、諏訪市内へ移動。ある場所である風景に激しくときめきます。
近くのレストランに車を停めたら、オーナーが出てきて、「ランチを食べれば何時間でも停めていいけど、うちに用事がなければ停めてはダメだよ」と言われてしまいました。
で、ちょうどお昼時だったので、そのレストランでランチを食べます。
食後、ときめきの風景を撮りはじめました。またまた道行く人は不振な目を向けてきます。勇気のある人は「何やってんの?」「何撮ってんの?」「あんた、何やっているんだ?」「測量?」と声を掛けてきます。
こんな時、写真家の感性をいくら説明しても理解してくれる人は100%いないので、鳥や花を撮っていると答えておく、と以前書きました。ただ今日はそのどちらにも当てはまらなかったので、「道を撮っています」と答えておきました(笑)。
撮影中は色々なトラブルが付きまといます。今まで出したどの作品集も、そんなトラブルの中から生み出されてきた、と言っても過言ではないでしょう。
逆に平穏な中から生み出された作品というのは、作品としての力強さがないとも言えます。ごくごく当たり前の風景になってしまう。
僕にとって、日本でも海外でも、警察の職務質問は、日常です。
写真家には何か大切かというと、撮るという「情熱」です。それがないと何もできない。情熱があるとトラブルも気にならなくなる。ただ、何をするにも歯止めは大切です。
例えば、台風や大雨の様子を伝えるテレビのニュース映像がありますよね。雨に濡れて足早に歩いている女性を捕らえた映像が度々流れますが、あれを撮っているカメラマンはいろいろなトラブルがあるんだろうなあ〜と思いながら、いつもニュース映像を眺めています。
高速を使って塩尻へ移動。一般道に下り、被写体を探していたらある風景と出会いました。素晴らしい風景です。
勇んで路肩にカメラを設置。露出を変え、何枚か撮影しました。この作品は絶対に個展で使うとわかったので、念には念を入れ、追加で2枚撮りました。
塩尻にこんな風景が眠っていたとは驚きです。生まれ育った松本のすぐ隣の町ですが、実は何も知らなかったのかもしれません。そう、塩尻という地名だけ、僕の頭の中で一人歩きしていたのです。
今回の信州の撮影の旅は、信州の魅力を再発見する旅でもあるようです。