写真集の紙について
ある製紙会社でとんでもない問題が起こっていますが、僕自身、「紙」に関しては、写真集作りが始まる前に、いつも真剣に考えています。なぜなら、紙の違いによって、写真集の仕上がりがだいぶ違ってくるからです。仮に超高級紙を使えば、写真集のイメージががらりと変わります。でも1冊あたりの定価は2万円、3万円になってしまうでしょう。紙選びは、本の価格と連動しているのです。
僕が好きな紙は、サテン金藤という紙です。「BLUE MOMENT」、「MAGIC HOUR」、「PASTORAL」、「CEMENT」、「2012年カレンダー」はこの紙を使っています。写真部分に光沢が生まれ、白い部分はマットの風合いが残るという、とても繊細で上品な紙なんです。ただ紙の値段が高いので、出版社によってはなかなかOKが出ないこともあります。
ちなみに今まで最も高い紙を使ったのは、「Sense of Japan」です。利益を度外視して、この高級紙を使った写真集を作るという無茶をしてみたかったのです。だから少部数しか作りませんでした。そろそろ在庫がなくなります。
今回の「Shinshu」も、まずは「紙をどうするか」から入りました。最初6枚の写真を選び、印刷会社さんでテストをしてもらいました。そして関係者で検討に検討を重ねた結果、アルティマックスという紙に決まりました。この紙も、とても素晴らしい紙です。
ちなみに「Shinshu」は、スミとグレーの2色印刷ですが、その上にニス引きをしています。もちろん全ページです。よ〜く見ると、ニスが引いてあることがわかると思います。
やっと吉村さんの紙へのこだわりが分かりました。紙・・そして、印刷の世界・・・職人という言葉を使われる意味がわかりました。私が考えていたよりも、ずっとずっと深いものですね。
遊びでいろいろなものにいろいろな絵の具で絵を描きますが、マチエールにこだわるといっそう面白くなると思っています。その感覚でですが、なんとなく・・・分かった気がします。(違ったらごめんなさい)
・・それにしても・・・また地震のニュース(ペルー)が入りました。
・・・世界のあちらこちらで大変なことが起きていますね。政治的な変動、経済難に加え、各地で起きているデモ、タイや中米での洪水。
昨日あるお店の人と話していたら、その方が「世界がひどいことになっているわね。日本は身近なところで何か起きているわけじゃないから麻痺しちゃっているけど・・」とおっしゃいました。
それで、3/11のことやその後の長野の地震のこと(その方は長野出身)、そして、台風のあとの洪水など日本も大変だと言うと、はっとして、ご自身の感覚が麻痺していると言われました。
ただ最近は、その人だけでなく多くの人の感覚が、以前とはまったく違っていると感じています。これだけ災害や犯罪が多ければ、仕方がないのかもしれませんが、ストレスの多い時代です。
投稿: masa | 2011年10月29日 (土) 22時40分
モノクロといっても、イコール1色刷りというわけではないのですね。しかも「Shinshu」では更に光沢が出るような加工をされているとは…。
思っていたより遥かに奥が深いのですね。
ちなみに、「Shinshu」はボリュームがあることもあり、定価は余裕で\10000越えな印象ですよ。
感想欄では敢えてコメントは控えましたが…(笑)
価格を抑えるのは、多くの人々に見てもらう為なのでしょうか。
でももったいない!と、つい思ってしまいますf(^_^;。
投稿: mari | 2011年10月29日 (土) 06時44分
こんばんわ!!
紙にもこんなに色々と種類があるのですね(驚)とても勉強になりました( ^ω^ )
吉村さんは本も好きですし、印刷会社にいらしたし、「紙」に縁があるのではないですかね!! 紙といえば大王製紙・・「エリエール」が泣きますよね・・ヤレヤレ ┐(´(エ)`)┌クマッタネ ・・ってその紙ではないですよねm(. ̄  ̄.)mス・スイマセーン
吉村ファンとあろうものが・・まだ写真集買ってないんです・・早くしなきゃ~ι(´Д`υ)アセアセ
投稿: ライラック | 2011年10月29日 (土) 01時23分
吉村サン、いつの頃からか 写真集を目で楽しみ、次に手のひらの手触りで楽しんでいます。
例えば、「CEMENT」の写真集は、赤茶色の部分が少しザラザラして、まるで被写体の質感を感じます。(もちろん、手はきれいですよ)
そのザラザラ感やツルリと滑らかなお写真もあり、インクや印刷の繊細な感覚を楽しんでいます。
とても不思議。
「Shinsyu」の写真集は、その「アルティマックス」というのですか、紙の名前。ニスを塗っているので、ほとんどがツルツルした光沢感があります。
紙質のことは、私はよくわからないのですが、そこに拘るのは大切なポイントなのでしょう。
モノクロの明暗、彩度、質感、フルカラーがモノクロになった時の写真って、出来上がるまで想像ができません。
それだけに、撮影する時に「きっとこういった写真になるだろう」と決めて撮る吉村サンは、すごいなぁと思います。
「Shinsyu」の写真集の中で、紙質の良さを私なりに発揮していると思う写真は、「万治の石仏の○○○」と「「フランシス水車のススキの穂の輝き」です(^^)v
この渋いキラキラ感が、もう最高です!
投稿: サラ | 2011年10月29日 (土) 01時21分
よ~く、見てみました!先生(^-^)/
よくわかりませんが…光沢が出ているということで、よいのでしょうか(^^)!でも、印刷を確認するつもりが、ついつい写真を眺めてしまいます。
「Shinshu」の紙質も「Sense of Japan」の紙質も、印刷の色合いのために選択されたのだと思いますが、手に伝わって来る紙の感触も心地よく感じます。その心地のよい感触が、鑑賞する側の感情を優しくさせるので、作品を眺める眼差しも優しくなれるのかもしないと感じました。
私は、「小さな村…」の紙質も大好きです。大きさが、私の手にフィットするということもあるのかもしれませんが、思わずスリスリ♪したくなる感触です。
吉村さんは、今回、印刷についての紙を語っていらっしゃいますが、感触も大切なのでしょうね。
私は、幼い頃、手放せない毛布の切れ端がありました。スヌーピーの漫画に出てくるライナスが持っているような毛布です。その毛布の感触が、私に安堵感を与えていました。その感触と「小さな村…」の感触は、ちょっと似ています。
久々に「Sense of Japan」のページを捲ってみました。「Shinshu」のモノクロの世界にしばらく浸っていたためか、また新鮮な感覚で眺めています。不思議ですね!久々だと、お気に入りが変わります。
投稿: 花水木 | 2011年10月29日 (土) 00時13分
『Sense of Japan』くらいのサイズの写真集は、表紙が厚くなると重いし薄いと写真がしなって歪み見にくくなるし…。と思っていたのですが、あまり歪みを感じなかったのは写真に合った上質の紙だったからでしょうか。
『Shinshu』のニス引きは、縦から見ても横目で見ても???
分るように成る時が来る気がしません。今のところ。
投稿: ちー | 2011年10月28日 (金) 23時48分
利益を度外視して作られてるとは、ファンも、うれしいですね。昨日、家の近所の本屋さんで、吉村さんの写真集を見つけました。うれしいですね。ささやかなファンですが、これからも、応援してます。
投稿: hitomi murakushi | 2011年10月28日 (金) 23時27分