「最も美しい村」の取材は前準備が大変です。今回も2日ほど掛けて訪れる村をリストアップし、グーグルマップで確認しながら、スペインの紙の地図に落とし込んでいきました。
スペインに入り、まずは最初の村へ行こうとしたら、日本にいる時に苦労して作成した書類が見当たりません。何と、一式日本に忘れてきたのでした。
いつもリスト表を作り、指さし確認しながらモレがないように気をつけているのですが、たまに大失敗をしでかすのです。
幸いグーグルマップに印をつけていたので、記憶を頼りに取材した村、していない村を選別し、初日はどうにか事なきを得ました。
いずれにしても、今回もスマホに助けられました。スマホがない時代だったら、2週間、美しい村の取材をせずに別テーマの旅に切り替えていたでしょう。
イスタンブール経由だと、ヨーロッパ到着はお昼頃になります。
初日の午後、1つの村を歩くことができます。夜は、村内で宿を見つけて一泊するのですが、ベッドに入ると決まって足がつります。
日本ではあまり運動はしていません。20時間以上、エコノミークラスでの移動です。そして村に入り、石畳の道を何キロも歩き、階段を上り下りします。この急な動きがいけないのでしょう。
10分くらいウンウンと唸りながら痛みと格闘し、その痛みが自然と消え去るのを待ちます。
美しい村の取材初日は、毎回こんな感じです。もちろん2日目からは足がつることはありません。
最初は、スペイン北部の村を集中して訪れました。
ここにはサンディアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路があります。よく巡礼者を見掛けました。
実はこの巡礼の旅、いつかやってみたいなと思っています。800キロを約2〜3カ月掛けて歩く。70歳になるまでに挑戦します。
映画「星の旅人たち」を観ると、巡礼の旅のことがよくわかります。
夕方、山の中にある村を目指します。
車1台がようやく通れるような険しい山道を走ること40分、石造りの家屋が30軒ほどあるだけの素朴な村に辿り着きました。
日本にもまだこのような集落はありますが、建物はボロボロです。でもヨーロッパは数百年前の姿をそのままの形でとどめている。木造と石造りの違いでしょう。
残念ながらこの村には宿がありませんでした。2時間ほど歩き、その後いったん山を下り、翌朝また村に入りました。
南部に点在する白い村を訪れました。
村の美しさを形作っているのは、間違いなく統一感です。どの家の壁も白く、屋根の色もすべて同じです。うちは青で黄色で、という人は一人もいない。
これから先、この統一感ある風景が100年200年と受け継がれていく。よくよく考えてみれば凄いことだと思います。
スペインと言えば肉料理です。
村に入ると地元料理を食べるようにしています。すると決まって肉になるのです。昼と夜、2週間ぶっ続けで肉料理をオーダーしました。
毎日かなり歩くので、体重は増えていません。おそらく太る原因は肉ではなく、炭水化物にあります。今回、ライスは一回(パエリア)しか食べませんでした。
スペイン料理、かなりはまってしまいました。東京で美味しいレストランを探してみます。
イタリア取材の時はパスタにはまり、帰国してからも色々なレストンに行きました。でも日本のイタリアンのパスタって、圧倒的に量が少ないです。何とかシェフの有名イタリアンも、お皿にちょこんとパスタが乗っているだけで、一皿2000〜3000円もします。これだと満足感が得られません。日本の場合、何とかシェフの有名店で食べるよりも、チェーン店で食べる方が好きです。
今回、ステーキを何枚も食べました。
でもやっぱり、ステーキは、日本の「いきなりステーキ」の方が美味しいかな。やはり牛肉は、欧米ではなく、日本だと思います。
ワインは、海外に叶いません。スペインワインもとても美味しい。日本のワインもかなり飲んでいますが、まだまだと思います。どこか味が軽い。
後半は、今年新たに加わった村を取材しました。各地に点在しているので、スペインを1周するような旅です。
一村撮り終えたら次の村は500キロ先。朝から晩まで車を運転しているような感じでした。
スペインの高速は基本無料ですが、有料区間もあります。かなり走ったなあ〜という時でも1000〜2000円くらいです。
車はコンパクトな5MTのディーゼル車なので、満タンで1000キロは走ります。だからそれほど燃料代は掛かりません。
海外の道を走り30年経ちましたが、やはり大都市の運転はいまだに緊張します。でもこれは地元の人も同じだと思います。
コツは、ヨーロッパ在住者のような感じで堂々と運転することです。できる限りスピードを出し、車線変更を繰り返し、流れに乗った方がいい。そうすると事故が起きにくくなります。実は外国人旅行者のレンタカーの事故って、すごく多いんです。
レンタカー、大手であればもちろん1〜3年の新車が用意されますが、タイヤに関しては運です。
海外では無理な運転をする人が多いので、新車でもタイヤはかなりへたっている場合が多いです。今回借りたアウディA4、すでに4万キロも走っていたので、タイヤはツルツルでした。側面にゴムが裂けている箇所もありました。
走行中にパンクしないように……と願いながら高速を飛ばしました。
2週間頑張ったので、「スペインの最も美しい村」全踏破出来ました。でも正確には、あと2村残っています。地中海にあるマヨルカ島とアフリカの横にあるカナリア諸島です。
この旅が大変。どちらも年内に行いたいと思っていますが、かなりお金が掛かるでしょう。