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2018年7月17日 (火)

簡単なカナダ取材記

今年はカナダをテーマにすることに決め、1月から精力的に足を運んでいます。
3度目となる旅のスタートは西のビクトリアから。
ビクトリアは25年前に一度訪れたことがあります。バンクーバーでレンタカーを借り、フェリーで島へ渡りました。でも旅の詳細は綺麗に忘れている。残っているのは当時撮った写真だけ。
空港でレンタカーを借り、まず向かった先がブッチャートガーデン。事前に取材申請書を提出していましたが、受付まで下りていなかったらしく、高い入場料を支払うことになりました。それでもプレスパスを見せると10%OFFにしてくれた。(事務局からはその日の夜にお詫びのメールが来ました)
今の季節はバラが満開でした。庭園を2周し、200枚ほど撮ります。
ダウンタウンへ移動しました。駐車料金の高さにびっくり。コインでは足りず、クレジットカードで支払いました。
街中のホテルはどこも150〜200ドル。信じられないくらいの高さです。
夕景と夜景を撮影し、空港近くのホテルにチェックインしました。

2日後、飛行機でトロントへ移動します。出発が40分ほど遅れたので、トロントでの乗り継ぎは出来ませんでした。次の便は6時間後。Kindleで小説を購入し、空港内で本を読んで過ごします。その便も2時間遅れ。スーセントマリーに着いたのは深夜2時でした。
翌朝8時出発のアガワキャニオン行きの電車に乗る予定だったので、そのまま寝ないで過ごします。
ビクトリアでも時差ボケで眠れなかったので、3日間寝ていない計算になります。

2日後、飛行機でトロントへ移動し、プリンスエドワードカウンティのワイナリーを取材しました。ここはワインの産地として注目されており、次々と新しいブドウ園&ワイナリーが誕生しています。
取材に行くとテイスティングを勧められますが、飲んでしまうと写真が撮れないので、グッと我慢しました。赤ワインは大好きなので、飲めないというのは辛いですね。
キングストンへ移動します。この街も何度か訪れたことがありますが、本格的な撮影ははじめてです。
今回のテーマはサウザンドアイランド。ガナノクエから出ている遊覧船に乗り、午後はヘリで空撮を行いました。

オタワから飛行機でノバスコシア州ハリファックスへ移動します。この地を訪れるのは7年ぶり。
翌日からペギーズコーブ、チェスター、マホーンベイ、ルーネンバーグを巡り、撮影を行いました。過去に何度も撮影したことのある被写体なのであまりときめきませんでしたが、「2018年の風景」という作品は生み出せたと思います。
どこで夜景を狙おうか迷いましたが、結局ルーネンバーグにしました。
日中あれほど吹いていた風は夕方になるとピタリとやみます。ゴルフ場から望遠レンズで狙いました。

第2の故郷プリンスエドワード島へ移動します。島を訪れるのは3年ぶり。
今回、ノバスコシアからカーフェリーで島に入りました。
シャーロットタウンに到着すると、いつものコインランドリーに立ち寄り、洗濯物を預けました。おばさんが洗い、乾燥、畳みまでやってくれるサービスがあるのです。
いつもの中華でチャーハンを食べましたが、オーナーが変わっていたので、味は自分好みではありませんでした。そう、カナダのお店や宿って、次々とオーナーがチェンジするのです。
洗濯物をピックアップし、シャーロットタウン郊外のホテルにチェックインしました。

翌日から島の撮影をはじめます。ティムホートンのコーヒーを啜りながら、まずはニューグラスゴウ村へ。
プリンスエドワード島の道はすべてわかります。224号線を走っている時、先週もこの島を走っていたような不思議な感覚になりました。
そうそう、シャーロットタウン郊外のほぼすべての交差点が、ヨーロッパのようにロータリー式になりました。信号機がないのでスイスイ走れます。日本も早く真似してもらいたいです。渋滞も事故も減る。何度もブログで書いていますが、交差点に信号機は必要ないのです。

プリンスエドワード島の景観に大きな変化はありませんでした。
ただし、20〜30年前にベストショットを生み出した景観はもう残っていません。樹木が育ち、民家や教会が隠れてしまったからです。
ときめく風景とはなかなか出会わない。何故なら、近年の民家はモダンな2×4建築になっているからです。切妻屋根を持つ民家は確実に少なくなっている。
自分が二十歳で、写真家を目指す青年で、仮に今島に入ったとしたら、はたしてこの島の風景に一目惚れをし、住んでみたいと思っただろうか……。プリンス・エドワード島各地を巡りながら、そんなことばかりを考えていました。
20〜30年前に生み出した作品の価値に気づきます。
風景写真は誰でも撮れるので芸術的価値はない、とよく言われますが、過去の「記録」としてとらえると、その価値は高まっていきます。
これからも当時の作品を積極的にプリントし、作品額を生み出していこうと思います。

太陽が西の空に傾く時間帯になると、風景の色彩が増していきます。大気がクリアなので、遠くの風景がはっきり見える。色も形もストレートに目に飛び込んでくるのです。
写真集を見て、「本当にこんなに色鮮やかななんですか?」と質問してきますが、実際はもっと色鮮やかです。
この色鮮やかな島をベルビアというフィルムで撮ると、それはそれは美しい作品が生み出せました。
今の時代はデジタルです。デジタルは逆にこの美しい色彩を100%表現することは出来ません。かといってフォトショップで彩度を強めると、いかにもデジタルっぽい作品になってしまいます。
どんなに時代が進んでも、色彩表現力はフィルムの方が上ですね。

「赤毛のアン」の家に行ってみます。営業時間を過ぎると、訪れる人は誰もいません。そう、ここは早朝か日暮れ時がお勧めです。
皆さんもご存じの通り、キャベンディッシュ村には以前の素朴さは残っていません。今は超がつくほどの観光地です。今年またアンの家の横に大きな建物を建設していました。おそらくレストランかギフトショップ、もしくは博物館ができるのでしょう。
家の前にポツンとあったリンゴの木は、残念ながら枯れていました。この木がないと、アンの家はなかなか作品になりませんね。
森の方へ移動し、手前に木の枝をぼかして入れる工夫をしながら、何カットか撮影しました。どんな状況でも雰囲気のいい作品を生み出せるのがプロです。

3日後、橋を渡ってニューブランズウイックへ移動しました。
まずはホープウェルロックスへ。
ここも超観光地になっていました。昔は小さな広場に車を停め、スッと岩の前に出ることができたのです。今は巨大な駐車場の先にゲートがあり、そこで10ドルの入場料を払い、2ドルのシャトルに乗って岩まで行きます。森の中を歩くと15分です。
岩は浸食されているだろうと思ったら、昔のままでした。少しホッとした。

ニューブランズウイックはカバーブリッジ(屋根付きの橋)が有名です。
観光局のサイトに「橋マップ」というのがあり、それを参考にすると橋が簡単に見つかります。
Apple CarPlayとAndroid Autoに対応したレンタカーも増えてきました。今年欧米で7台借りていますが、うち4台は入っていた。
スマホとUSBで繋ぐだけでナビも音楽も即使えるようになります。運転しながらNHKのラジオニュースをよく聴きました。

20代の頃、州の中央部にある小さな村でたくさんのベストショットを生み出しました。25年ぶりに訪れてみると、建物がモダンになったせいか、ときめきはありませんでした。2枚撮って終わりです。
フレデリクトン郊外に定宿をしていたモーテルがありました。オーナーの拘りが感じられるとても雰囲気のいい宿で、一泊40ドルと低価格でした。
残念ながらオーナーがかわっており、当時の面影は微塵もありませんでした。今は1泊90ドルです。
掃除はいい加減で、虫(蚊・ハエ・蛾・蜘蛛)もたくさんいました。
もちろん虫に関しては気にしません。これは世界共通です。以前イタリアで蚊が20匹以上いた安宿に泊まったことがあります。アジアの安宿は、ベッドに入ると体が痒くなる虫がたくさんいました。
蚊に関しては、以前、濡れタオルを壁に投げる方法で退治していましたが、今はワンプッシュ蚊取りを一吹きするだけでOKです。ただしクモは退治できません。クモは2〜3回プッシュが必要です。
でもこの殺虫剤、何となく人間にも悪い気がするので、使い過ぎには注意しましょう。

フレデリクトンの空港でレンタカーを返却します。
外国人の事故が多いので、レンタカーの保険は年々高くなっていきます。今回もかなりの金額を払いました。
モントリオール行きの便は1時間半遅れでしたが、奇跡的にモントリオールで乗り継ぎできました。
今年就航したモントリオールー成田直行便は連日満席です。アメリカや南米の各都市に行くハブ空港としても使えます。今まで直行便がなかったのが不思議なくらい。

予定通り日本に戻りました。やはり2週間以上の海外取材は疲れますね。。。(笑)


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