簡単なカナダ取材記
●8月はBC州のオカナガンを取材するつもりでした。しかし直前になって、山火事の影響で辺り一面煙に覆われている、という連絡が入ります。煙くらいなら問題ないと取材を決行するつもりでいたら、現地から送られてきた写真を見てびっくり。まさに100m先も見えないほど真っ白な世界でした。
北のユーコン準州だけにしようかと思いましたが、どうせカナダに行くのだからとアルバータ州を加え、行き先をオカナガンからカルガリーに急遽変更したのです。
23日の便でカルガリーに到着。この街もうっすらと煙に覆われていました。見方によっては朝靄に見えないこともない。
レンタカーを運転し、恐竜で有名なドラムヘラーへ。ここを訪れるのは20年ぶり。街中にでんと居座る巨大な恐竜のオブジェ、フードゥー、炭鉱跡にカメラを向けました。空は煙で真っ白ですが、それほど作品作りに影響はありません。
翌日は雨。400キロほど南下し、ウォータートンへ行ってみます。ここも山火事がひどかったらしく、周辺の森は真っ黒でした。プリンスオブウェールズホテルをはじめとする建物は無事でした。
辺り一面煙で真っ白、聳え立つ山々は見えません。苦し紛れに何枚か撮影しましたが、手応えはなし。焦げた木という、山火事の状況を伝える「今」を切り取りました。
●400キロほど北上し、カナディアンロッキーに行ってみます。ロッキーを旅するのがシンドクなってきたな、と感じるのは、物価の高さです。まずホテルが超高額。ネットで探しても夏は200ドル以下は見つからない。ユースという手もありますが、高額な機材を持っているのでドミトリーでは厳しいのです。
こんな時は仕方ないので、100〜150キロほど離れた町や村のホテルを探します。100ドルのホテルを発見し、部屋を押さえました。
ダメ元でレイクルイーズ、モレインレイクを巡ってみました。周辺の山々は煙で覆われています。湖の水もエメラルドグリーンに見えない。風景と接しても、何の感動もありませんでした。
カナダ、アメリカの山火事は終息に向かっていますが、煙は居座っているようです。これは1〜2週間で解決する問題ではなく、おそらくクリアな大気が戻るまで1〜2ヶ月は必要でしょう。今年のカナディアンロッキーの旅はお勧めしません。計画している人は時期をずらした方がいいと思います。
●4日後、エアカナダ便でバンクーバー経由、ユーコン準州のホワイトホースへ飛びました。さすがにここまで来ると大気はクリアです。しかし冷たい雨。
初日は街中のホテルに宿泊。翌日、レンタカーで580キロ北上し、北のドーソンへ向かいました。車はフォードのエスケープですが、燃費が悪いですね…。リッター7〜8キロです。ガソリンが1日100ドル掛かる計算になる。
●ユーコン準州を訪れるのは2回目です。15年ほど前、あるところからカナダ往復の航空券をいただいたことがあり、その時に滅多に行けない場所、ユーコン準州を選びました。しかしレンタカーが高額だったので、結局航空券代以上に掛かってしまったという苦い経験があります。
開拓時代の面影を残すドーソンは、好きな町の一つです。この町の雰囲気の良さは、道路が舗装されていないところ。世界遺産に申請するため、あえてそうしているらしいです。
今回の旅の目的は、ドーソンから100キロほど先にあるトゥームストーン準州立公園。ここのツンドラの紅葉を撮影するため、はるばるこの地までやって来ました。
●トゥームストーン、果たして紅葉しているだろうか……。実は現地に入るまで不安でした。
初日、紅葉は6〜7割でした。2日目は雨。しかし早朝の冷え込みで一気に色づきます。3日目はピークでした。
美しい風景と対峙し、深い感動を味わいます。僕の場合、美しさ慣れしているので冷静に写真を撮るだけですが、普通の人がこの絶景の中に佇んだら、涙が溢れ出てくるかもしれませんね。とにかく色鮮やで、光が眩しく、空気が透明で美味しいのです。やはり北国は凄い。
●北極海まで続くテンプスターハイウェイという道があります。この道をいつかは走ってみたいとずっと憧れていました。トゥームストーン準州立公園は道沿いにあるので、さわり部分を走ることが出来ます。150キロほど走った感想として、やはりこの道を走る旅はハードルが高いな、と思いました。
まずはレンタカーのマイレージの問題。ホワイトホースで借り、ここドーソンに来て、トゥームストーンを何度か往復をするだけで1500キロはオーバーします。さらにテンプスターハイウェイを走るとなると4000〜5000キロオーバーは確実なので、レンタカー代が超高額になってしまいます。
BC州のどこかの街でフリーマイレージのレンタカーを借りてここまで運転してくる、という手もありますが、おそらくユーコンになると保険がきかなくなる可能性大。よって、レンタカーはユーコンで調達した方がいいでしょう。
あと、ガソリンスタンドが少ないので、ガソリンをタンクに入れ、持っていかなければなりません。北はガソリンが高いです。1日100ドルは確実に掛かると思う。
途中いくつか宿はありますが、こちらも高く、おまけに部屋数が少ないので、泊まれない可能性大です。となるとテント一式が必要です。
外国人はみんなキャンピングカーで旅をしています。4WDで車高が高いトラキャンが最も多いです。燃費4〜5キロ、ガソリンは満タンで200ドルはいく。皆さん十分なお金がある人たちです。
●もう一度20代をやり直せたら、オフロードバイクで世界一周か、スペイン巡礼の旅をしたいです。
カナダでライダーを見る度に憧れます。つい声を掛けてしまう。
スペイン巡礼の旅はいつかやるかも。
●最終日は13時まで撮影を行い、その後車を運転し、ホワイトホースに戻りました。580キロ、一回のガソリン休憩のみで一気に走りぬけます。長距離の運転はまさに睡魔との戦い。眠くて眠くて仕方ありません。
19時、ホワイトホースに到着。すぐにティムホートンに立ち寄り、ダークローストのコーヒーを飲みました。4日間、コーヒーが恋しかった。ちなみにホワイトホースにはスタバもあります。
●翌朝の便でバンクーバーへ。直行便のゲートに行ったらびっくり。日本の修学旅行生で溢れかえっていました。家族旅行も何組かいた。家族4人でカナダに来ると、ざっと見積もっても100万は超えますよね。凄いと思う。
楽しそうに雑談している日本の若者たちを見ていたら、日本は豊かな国だなあ〜と思いました。まるで京都奈良に行くような感覚でカナダに来てしまうといのも凄いし、みんなiPhoneを持っている。学生なんか8000円くらいの格安アンドロイドスマホでいいと思うのですが、日本の若者は5万も10万もするiPhoneを使っている。こんな国、世界のどこを探してもないです。
とにかく日本は豊かな国です。世界に出ると、そのことを実感します。
消費税の8%から10%へのアップは反対でしたが、この国だったら10%以上でもいいのではないか、と今日はじめて思いました。
●機内では、行きと帰りで映画をたくさん観ました。今の時代、映画は断然邦画です。ハリウッドの洋画は年々つまらなくなっている。CGを多用したり、SFっぽい作品ばかり。
「嘘八百」「相棒 劇場版Ⅳ」「永い言い訳」「今夜、ロマンス劇場で」「嘘を愛する女」「勝手にふるえてろ」。この中で面白かったのは、「永い言い訳」と「嘘を愛する女」でした。「相棒」はいつもパターンが決まっているのでだんだん飽きてきた。
一応ハリウッドも観ました。「ダウンサイズ」「インターンシップ」「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「ドルフィン・テイル」。この中で面白かったのはGoogleに入社するストーリーを描いた「インターンシップ」。次に「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」です。