写真家になるには
時々、「私も写真家になりたいです」という問い合わせがあります。
お金をため、仕事をやめ、海外に行って、まだ誰も知らないような土地の写真を撮って、帰国して出版社に売り込んで、写真展を開催して……。これを繰り返すことによって写真家になる。これが、吉村が歩んできた道です。
でも今の時代、この方法では写真家になることは出来ません。100%、絶対に無理です。
今は、自分の作品をTwitter、インスタ、YouTubeなどのSNSで発表する時代です。そして自らファンを増やしていく。フォロワー数が10万、20万と巨大になるほど、何でもありになってきます。
出版社からは本にしませんか? と依頼が来るし、写真展をやりませんか? という話も芽生えるでしょう。講演の仕事はバンバンと舞い込むし、すぐにカメラメーカーがコンタクトしてきます。どのメーカーも、何十万人というフォロワーは「美味しい」のです。
現に、20代30代の若者は、みんなこの方法で写真家としてデビューしています。イラストや漫画など、絵の世界も同じ。
僕らのようなオジサン写真家には、逆に若者たちのスタイルに憧れを抱いています。なぜなら彼らは凄すぎるから。
何かになりたいと夢を抱いたら、その時代を読むことも大切だと思います。時代に合った方法で夢を掴んでいく。
写真、特に風景写真は、今、無料時代に突入しています。
カナダで風景写真を撮る。昔はたくさんの需要がありました。でも今は、海外の風景写真は、海外のサイトからいくらでも無料で手に入ります。現地のアマチュアが、写真の共有サイトで、高画質の写真を「是非使ってください!」と無料でどんどん提供しているから。
じゃあこれからの時代は何か大切かというと、やはりブランド力だと思う。「吉村和敏=カナダ」「吉村和敏=プリンスエドワード島」といった感じで。
今後、セルフプロディースが出来ないと、おそらく写真家として生き残ってはいけないです。
よくオジサンが、「まだまだ若者には負けられない」と言います。どんなに背伸びしても、オジサンは体力的に「行動」では負けます。この言葉の意味は、「若者たちがやっていることに挑戦する」ということだと思う。
Twitter、インスタそしてYouTube……。オジサンたちも、やる気になれば出来るのです。