成田発モントリオール直行便でカナダへ。飛行時間は12時間。
4時間後、国内線に乗り換えプリンスエドワード島へ。23時過ぎにシャーロットタウンに到着しました。今はその日のうちに島に入ることができるのです。
写真展「Du CANADA」は、来年1月末に大阪展を開催します。数点新規の写真を追加しようと思い、今回新たにプリンスエドワード島とカナディアンロッキーにカメラを向けることになりました。
初日、プリンスエドワード島は快晴。
ティムホートンのコーヒーを啜りながら郊外へ車を走らせます。まずはニューグラスゴウ村へ。キャベンディッシュ村、ニューロンドン村、フレンチリバー村、インディアンリバー村と巡っていきました。
写真は、太陽が傾く朝夕が勝負です。晴れた日の日中は絵になりません。何を撮っても観光写真になってしまう。しかし今回は滞在が4日間と短いので、日中も精力的に撮影しました。
翌日はキングス郡を巡り、東の果て、イーストポイントまで足を運びました。帰り道、夕陽に染まる漁港にカメラを向けます。
写真で見ると静謐な美しさですが、実際は、シャッターを押しながら蚊やブラックフライの大軍と戦っているのです。今の時期、水辺はとにかく虫が凄い。
スーリに、美味しいマグロ丼を出すレストランがあり、日本人に大人気だとか。残念ながら時間がなくて行くことが出来ませんでした。
シャーロットタウンにシャパニーズレストランがOPENしたというので行ってみました。
入ってびっくり。HOJO’S(ホージョーズ)は、100席近くもある本格的な日本食レストランでした。寿司、ラーメンと何でもあり。オーナー夫妻は日本人。寿司シェフとラーメンシェフも日本人です。
注文はiPadで行います。大都市のレストランにあるような最先端の注文システムでした。早速味噌ラーメンをタップし、注文してみます。とても美味しかったです。島で暮らしていたら毎日足を運んだでしょう。
HOJO’Sはシャーロットタウンのど真ん中にあります。プリンスエドワード島を訪れたら是非訪れてみてください。
https://hojosjapanese.com/
3日目はプリンス地区を旅します。
アカディアンの人たちが暮らすエリアを巡り、撮影を行いました。
北の果て、ノースケープまで行きます。この岬を訪れるには実に20年ぶり。夕方ティグニッシュでN氏とお会いし、PEIロブスターの話を聞きました。
4日目、ついに天候が崩れました。朝から大雨です。一応島を巡りますが、風景にときめかず、なかなかシャッターを押すことができません。
シャーロットタウンに戻り、コインランドリーで洗濯を行いました。島で暮らしていたとき毎週通っていたランドリーです。ここで手書きの手紙ばかりを書いていた。懐かしいです。
プリンスエドワード島の風景は少しずつ変化しています。シャーロットタウンは都市化し、郊外の丘陵地には次々と民家やコンドミニアムが建っている。どの建物も今風のモダンなデザインなので、日本人が考える「切妻屋根の民家がポツンと建つ絵本のような風景」は失われつつあるのです。
おそらく今島に入ったとしたら、それほど風景にはときめかなかったでしょう。この島で暮らしてみようとは考えなかったかもしれない。島との出会いが30年前でよかったな、と改めて思いました。
しかし、キングス郡やプリンス郡の郊外には、切妻屋根の民家がポツンと建つ昔ながらの風景が残されています。漁港も素朴なままです。
この30年で最も大きな変化があった場所は、「赤毛のアン」の家があるキャベンディッシュです。アンの家の周りは、超モダンになってしまいました……。毎年、世界中から100万人以上の観光客が訪れるので、駐車場、トイレ、土産物店と、しっかりした受け入れ体制は必要になってくるのです。観光地の宿命。
まあでも、ここまではやり過ぎのような気もしています。もっと物語の世界を大切にした素朴な感じの建築物にすればよかったのに。
歴史を継承するヨーロッパ人だったら、もっとうまく「観光地」を整備するでしょう。日本人だって、城や寺、神社の周りをこのようにモダンにしたりはしませんよね。
20〜30年前の、なにもないところにアンの家がポツンとある、という感じが懐かしいです。
夕方の便でモントリオールへ。
何と、カルガリー行きのフライトは6時間遅れで23時半の出発になりました。今、どの航空会社も例の最新のジェット機が運航できないので、便のやりくりが難しいらしいです。
約5時間のフライトでしたが、時差があり、カルガリーに到着したのは深夜2時半でした。レンタカーはダメだろうなと思ったら、やっぱりダメでした(笑)
カナダ人は絶対に定時で帰ります。日本人のように、便の遅れに合わせ待っていてくれるなんてことはない。
ホテルに電話し、シャトルバスでピックアップしてもらいました。何となく悪い予感がしていたので、空港側のホテルを予約していたのです。
部屋で2時間ほど仮眠。早朝チェックアウトし、再びシャトルバスで空港へ。レンタカー会社が開くのを待って、車を借りました。
2時間ほど車を走らせ、バンフへ移動。雨、曇りでしたが、各地を精力的に巡り、撮影を行いました。
カナダに来てから2〜3時間睡眠が続いています。よって、運転中は眠くて眠くて仕方がない。
バンフのホテルはどこも一泊3万円以上。古城ホテルは1泊5〜10万円です。数年前、手前のキャンモアだったら1万円以下で泊まれたのですが、今はこの町も似たような感じ。
レイクルイーズから西へ100キロほど移動し、ゴールデンという小さな町へ。1.5万円のモーテルを取りました。20年前は4000円くらいで泊まれたのですが。
4時起き、ティムホートンのコーヒーを啜りながら120キロ東へ移動し、モレインレイクへ。奇跡的に晴れ、思い通りの美しい風景を撮影することができました。
翌日も4時起き。100キロ走らせレイクルイーズへ。信じられないような美しさを目にしました。まさにカナダは感動大陸です。
自然風景はとてもとても美しいのですが、問題は観光客の多さです。
モレインレイクもレイクルイーズも、車で行けるのは朝と夕のみ。日中は道が閉鎖され、シャトルバスでの移動になります。あれほど巨大な駐車場を持つレイクルイーズもシャトルバスになった、というのは驚きでした。
レンタカーでレイクルイーズやモレインレイクに行かれる方は、必ず朝6時前に現地入りしてください。7時半を過ぎると完全にアウト、駐車場に空きがなくなるので、シャトルバスでの移動となります。
世界中の観光地、どうしてこんなに人が溢れるようになってしまったのだろう……。20年前、30年前と全く状況が違う。今はどこにいっても人、人、人です。
何億という中国人が海外旅行をするようになった、というのも理由の一つですが、それだけではないような気がしている。世界中の国々が、平和で豊かになってきたからなのかもしれません。
いずれにしても、今、世界の観光産業はとてつもないことになっているのです。まさにバブル。
北上し、ジャスパーへ移動。この小さな町は10回以上訪れています。二十歳の時に行った大陸横断のときは、この町の郊外にあるユースホステルに滞在しました。
ホテルは山ほどありますが、どこも高い。エドモントン方面に100キロほど移動し、小さな町のモーテルを取りました。それでも150ドルです。
先進国の中で、日本は最も物価が安い国です。ビジネスホテルが1泊6000円平均で泊まれるのは日本だけ。夕食だって、700円くらいで食べることができます。欧米では考えられない。外食となると2000円は必要です。
ジャパニーズがあったので、焼きそばとチャーハンをテイクアウトしました。二つで26ドルです。
4時起き、5時チェックアウト。ティムホートンのコーヒーを啜りながら山道を走り、マウントエディスキャベルへ。実はここ、ロッキーの中で一番好きな場所です。
ここも混むだろうと思ったら、意外にも駐車場はガラガラでした。誰も早朝に訪れようとは思わないのかもしれません。道が細く大型バスが入れないのも理由の一つです。
エディスキャベル、美しかったです。エンジェル氷河は何度見ても感動。
少し下りたところに小さな湖があるのです。ここにも誰もいませんでした。鏡のようになった湖面にキャンベル山がうつり込んでいます。あまりの美しさに言葉を失います。
実際、この美しさと対峙したら、慣れてない人だったら涙があふれてくるでしょう。僕の場合「美しさ慣れ」しているので、「おー、これは凄い。さて撮るぞ」といった感じ。
マリーンレイクへ移動します。途中、熊の親子と大きなカリブーと出会いました。マリーンレイクは、唯一エンジン付きのボートの使用が許可されている湖です。
スピリットアイランドに行く3時間のツアーがある。20年前は20ドルだったので、今は40ドルくらいに値上げしているだろと思ったら、何と83ドル!もしました。
一瞬やめようかと思いましたが、せっかく来たので乗船することにしました。そう、観光写真を撮ることが写真家吉村の仕事です。観光写真を撮って、その写真を売って生きている人間です。よってある程度の初期投資は必要。写真集やエッセイ集を出版したり、個展を開催したりするアートだけでは食っていけない。
38人乗りのボートは、35人が中国人、2人がヨーロッパ人、日本人は1人だけでした(笑)
で、3時間のツアーで島に行って写真を撮ってきたのですが、どう考えても83ドルというのは高すぎると思いました。納得できない。東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンよりも高いんです。(どちらも行きませんが)
カナダは、北欧並みに物価が高い国になりました。車のガソリンも毎日満タンにしていますが、1日6000円として、2週間の旅で8万円は必要。そろそろ持ってきた2000ドルのキャッシュが底をつきはじめています。夜は6ドルのハンバーガー1個のみ。厳しくなったら、いつも食事で調整しています。
最終日は大雨でした。
まずはジャスパーへ移動。A&Wでハンバーガーをテイクアウトした後、アイスフィールドバークウェイを南下します。
睡魔に襲われたら車を停めて仮眠する。今の車、レーンアシスト機能があるので、道からはみ出しそうになったら車が自動でハンドルを戻してくれます。よって居眠り運転によるレーンのはみ出しは少なくなりましたが、それでも休憩することは大切です。
海外で借りるレンタカーには、Apple CarPlayとAndroid Autoが搭載されています。この2〜3年で借りた15台余りのレンタカーすべてに搭載されていたので、標準装備と言ってもいいでしょう。
自分のスマホを有線で繋げば、音楽もナビも使えるようになります。音楽は、日本とまったく同じ環境が整います。僕の場合、Amazon musicで音楽は聴き放題。が、ナビに関してはお勧めしません。
なぜなら日本人旅行者は、スマホをWi-Fiルーターでネットに繋げているから。Wi-Fiは回線が不安定、移動を繰り返しているとよく回線が途切れます。これはヨーロッパでも同じです。
海外でレンタカーを借りる方は、必ず専用のナビ(ガーミンが一番いい)を借りるか、買うかしてください。スマホのナビに頼るのは危険です。
ワイパーがきかないくらいの土砂降りの雨の中車を走らせ、カルガリーの空港近くのホテルにチェックインしました。モダンで美しいホテルでしたが、トイレ問題で苦労しました。海外のホテル、パイプが詰まるトラブルはしょっちゅうです。
翌日、カルガリー空港から成田直行便に乗って帰国しました。2週間のカナダ取材、まずまずの成果でした。