ヨーロッパから帰国しました。簡単な取材記です。
●2週間のヨーロッパ取材です。超大型台風の影響で土曜日は全便欠航。予約は日曜日25時発のANA便でしたが、19時頃に羽田に行くと定刻通り飛ぶとのことでした。
●深夜便は寝る方が優先になるので、映画を観る気力がわきません。でもせっかくだからと思い、4本観ました。
まずは邦画の「劇場版おっさんずラブ」と「コンフィデンスマンJP」。どちらも実につまらなかった。ここ数年、邦画で外したことはないのですが、珍しく外しました。特に「おっさんずラブ」の方がダメ。
ハリウッドの「グリーンブック」と「アラジン」は面白かった。グリーンブックはアカデミー賞に相応しい極めて上質な作品だし、アラジンは物語の描き方が素晴らしい。さすがディズニーです。
●オーストリアのウィーンに到着。ここで乗りかえて、ある国のある都市へ向かいます。
到着後、空港バスでダウンタウンへ。予約していたホテルにチェックイン。ホッと一息つきました。
●今回は珍しく大都市に4日間います。初日は大雨。撮影が出来ないので、3日間の交通パスを買い、地下鉄に乗って各地をロケハンしました。
雨が降ると傘が必要になります。ヨーロッパでは、雨になると決まってホテル前に傘売りが現れます。1本10€。
●翌日は晴れ。大聖堂前の広場はもの凄い数の観光客です。今の時代、どの大都市もこんな感じ。
当然ポリスがたくさんいるし、機関銃を持った軍人もいる。そう、人が集まる場所は常にテロを警戒している。
●ヨーロッパの大都市はスリやひったくりが多いので、写真機材の取り扱いに神経を使っています。特にバッグの口を開けるレンズ交換の時は要注意。財布やスマホをポケットに入れていると完全にアウトです。彼らはマジシャンのような手つきでスッと盗んでいきます。
人混みの中で三脚を使って夜景を撮っていると、よく綺麗な女性が「シャッターを押してくれませんか?」声を掛けてきます。これ、受けると危険です。「はいチーズ」と言って写真を撮っている時、どこからともなく現れた彼女の仲間に財布やスマホをすられてしまう。また、カメラやスマホを預かる際に女性が故意に落とし、「貴方の責任よ、弁償して」と言ってきたりする。大都市で、「シャッターを押してくれますか?」と頼まれると、日本人は優しいので「いいですよ」とすぐに受けていますが、やめた方がいい。きっぱり「今、忙しいからダメ」と言って断りましょう。
もちろん、ヨーロッパでも小さな町や村は大丈夫です。「シャッターを押してくれますか?」と頼まれたら喜んで撮ってあげましょう。
●今回、街中でレンタカーを借りました。大都市での車の運転は全く問題ありませんが、難しいのは「進入禁止エリア」です。中央部分や歴史地区は、一般車の乗り入れが禁止されている。案内板があるのですが、それを見つけた時では遅すぎる。何故ならUターンできないから。そのまま進入禁止エリアへ進むしかありません。
あと、時間帯によって一般車の乗り入れが禁止されている車線もある。運が悪いと自動カメラで写真を撮られ、反則金の請求が日本に郵送されてきます。今まで何度もありました。
●2日ほど車で郊外を巡っていましたが、再び街に入りました。10万人が暮らす小さな街です。このくらいの規模の街が好き。
旧市街は一般車の乗り入れが禁止されていることを知っていたので、崖下で駐車場のあるホテルを見つけ、チェックインしました。
●小雨でしたが、じっくり時間を掛けて旧市街を歩きます。教会の内部が素晴らしく、思わず言葉を失いました。この芸術と接するだけでもこの街に来る価値がある。
●アメリカのファーストフード店は一軒もありません。世界のどの街にでもあるスタバは、この国にはほとんどない。
僕はチェーン店を批判しません。アメリカの食文化を片っ端から受け入れてしまう日本は、それはそれでいいと思う。でもチェーン店は、街や村の美しい風景と、その地の文化を確実に壊していきます。
●ネットで買った航空券で、スペインのマドリードへ移動しました。ここで乗り替え、大西洋に浮かぶ島、カナリア諸島へ向かいます。「スペインの最も美しい村」の一つが、この島にあるのです。本作りははじまっているのですが、この1村だけが残ってしまいました。
「フランスの最も美しい村」の時も、レユニヨン島にある村が残ってしまった。1村撮りに行くだけで40万ほど掛かりました。自分はいったい何をやっているんだろう……と時々考えたりもしますが、一度はじめたことは最後までやり遂げたいという思いで行動しています。
●カナリア諸島は、スペイン人にとって、日本の沖縄のような感覚だと思います。200人乗りのジェット機は満席。約2時間半のフライトで、グランカナリア国際空港に到着しました。
●レンタカーで山の中にある村を目指します。今回は日産のジュークでした。6MTのギアやトランスミッションはイマイチですね。硬く、ズルズルしている。そう、日本のMT車ってだいたいこんな感じです。日本はオートマの国なので、MT車のギアの開発に力を入れていないのです。
先週ある国で借りた車は、フォルクスワーゲンのゴルフでした。ギアの動きは素晴らしかった。もちろんBMWやボルボやプジョーやルノーも素晴らしい。日本で買うヨーロッパ車はオートマばかりですが、6MTも出せばいいのになといつもと思っています。ギアやトランスミッションの造りがホント上質なのです。
この30年で何百という6MTの車に乗ってきましたが、日本車でギアが最も優れているのはマツダです。ギアの動きがとても滑らかで、こぎみよく、極端な話、人差し指一本でギアチェンジができる。マツダの6MTは、ヨーロッパ車に匹敵します。そう、マツダはギアさえ拘りを持って造っているのです。最近のマツダはホント凄いと思う。
若者の車離れの影響か、最近、トヨタが次々と6MTの車を出しはじめています。これって素晴らしいことだと思う。カローラもC-HRもついにマニュアル車を出しましたね。試乗してみたいです。一度運転すると、いいかわるいかすぐにわかる。
●アスリートは9割が体調管理だと言われています。実は写真家もそう。でもどんなに注意していても、体は壊します。おそらく風邪だと思うのですが、今回も原因不明の頭痛に見舞われ、ヒーヒー言いながら旅を続けています。夜ホテルに入るとまずは2時間寝て、21時頃に夕食を食べ、そしてまた寝る。そんな生活を繰り返しています。
過去には、アメリカ、ポルトガル、ペルー、インドでも体を壊しました。40度を越える熱が出て寝込んだ。以前は2日で回復したのですが、最近は5〜6日は長引いてしまう。体は確実に変化してきています。
なぜ旅先で体を壊すのかはわかっています。40代、50代を越えても、20代の頃以上に動いています。頭も使うし、神経も使う。気力は十分にあるのですが、肝心の体がついていかない。だから体が悲鳴を上げはじめる。
●カナリア諸島はリゾートですね。海沿いにたくさんの小洒落たホテルが点在していました。最終日、空港側にホテルがなかったので、ネットで見つけた70€のホテルを取りました。今はオフシーズンですが、ヨーロッパからの家族連れが何組かおり、子供たちはプールで泳いでいた。
●翌朝、3時半にチェックアウト、空港へ向かい、レンタカーを返却しました。6時40分発の便に乗るためです。ヨーロッパには何百という航空会社があり、どの社もネットで航空券を購入することが出来ます。というか、今ネットでの販売のみになっていきている。やがて日本もそうなるでしょう。
航空会社を見つけて、航空券を予約する際、どの便を選べばいいか迷うと思います。コツは、乗り継ぎ時間を出来るだけ多く取ること。今回、カナリア諸島→マドリード→ウィーンと飛ぶのですが、あえて朝一の便を予約しました。マドリードで5時間の待ち時間がありますが、乗り継ぎがギリギリになるよりはいい。
●Amazonで「紐付き財布」を検索しました。あまりいいのがありませんね。引き続き探します。やはり財布にもスマホにも、紐が付いていないとダメだな、と思うようになってきました。
悪い奴らは、見事な手つきでポケットに入れた財布やスマホを盗んでいきます。日本にいる時のクセで、ついついスマホをズボンの尻ポケットに入れてしまうことがある。運が悪いとスッと盗まれます。
●マドリードからウィーンに移動しました。機内から外を眺めたら海の上を飛んでいる。ヴィエナってウィーンのことで間違いなかったよな……と急に不安になり、機内Wi-Fiに繋げて検索してしまった(笑)
●ウィーンに到着。空港バスに乗って市内へ。ネットで予約したホテルにチェックイン。大都市では、バス乗り場近くのホテルを取るのがコツです。大都市では1泊100€以下のホテルは避けた方がいい。いつも150€前後のホテルを予約しています。それでも部屋は狭いのですが、100€を越えるとセキュリティーはしっかりしています。
●街中に行ってみると、やはりこの街も凄まじい数の観光客でした。15年前と様子が違います。昔は、音楽ファンが訪れる静かな街だった。でも今は、3倍、いや10倍の観光客がいる。何だか人を見るだけで疲れてしまい、音楽の都に来たなあ〜という感じが薄らいでしまいました。
なぜ世界のどの街も、どの観光地も、こんなにも観光客が溢れるようになってしまったのか。世界の人口が爆発的に増えてきたから? 世界が豊かになってきたから? 中国人が旅するようになってきたから? 航空券やホテルがネットで簡単に取れるようになってきたから? いずれにしても、今どこに行ってもオーバーツーリズム。そう、世界の観光産業は超バブルなんです。
日本の訪日外国人数は年間3000万人くらいですが、政府が努力すればおそらくこの5倍10倍くらいまで持ってくることができると思う。
観光客で溢れると、物価が高くなり、景気がよくなる。日本という国にとっていいことばかりですが、僕のような静かな環境を求めたい人間には、旅することが苦痛になっていく。だから好んで静かな田舎に行くようになるのです。
2日後、ウィーン発のANA便に乗って東京に戻りました。機内で出るハーゲンダッツのバニラアイスがいつも楽しみ(笑)