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2020年9月 6日 (日)

お馬さん、豚さんたち

写真集『カルーセルエルドラド』、重版が決まりました。
初版本は、もうどこにもありません。見事に完売しました。多くの方から重版を望むメールが届いていますが、出版関係者からは「完売なんて滅多にないことなのだから、これで終わりにした方がいい」とアドバイスを受けていました。
実は僕自身も、これで終わりにするつもりでした。30年間出版業界にいて、紙の本を売るのがいかに大変なことかをよく理解していたからです。重版したとしても売れる保証はありません。出版はそんなに甘くないのです。

紙の写真集は、どうしても高額な印刷代と製本代が掛かります。本の売り上げによって、これを回収するというのは難しい。制作費が安い活字だけの本なら可能かもしれませんが、写真絡みの本は100%無理と言っても過言ではいでしょう。出版社に利益がもたらされるのは、ベストセラーになった時だけです。あと、雑誌のように広告を入れた時。
つまり、重版することが持ち出しになってしまう恐れがある。もちろんどんな本もでも銀行様の協力があるから、制作し、出版できるのです。

どんなにハードルが高くても、今回だけは重版をするべきだと考えたのは、僕自身の出版人としての意地とプライドです。写真集を欲しいという人がいる以上、やはり作り続けるべきだと思いました。
なぜなら、紙の本は永遠に残るものだから。そして人から人へと受け繋いでいくことができる。デジタルデータは永遠ではありません。消去ボタンを押せば一発で終わりです。あまりに儚い。

_mg_1244 回転木馬の生みの親ヒューゴ・ハッセの最高傑作をテーマに写真撮影を行い、写真集として形に出来たのだから、この「縁」をもっと大切にしていこうと思いました。
あと、写真集を見ていると、お馬さん、豚さんたちも、「重版してね」と言っているような気がするのです(笑)

今、転売業者さんたちが一番儲かっています。1冊15,000円でもすぐに売れてしまう。よって、早く正規の価格に戻したいのです。
業者さんたちが儲かり、著者がお金に関して苦しんでいる、何だか変な時代ですね。

印刷会社さんに重版のスケジュールを出してもらっています。印刷、製本で2〜3週間掛かるので、形になるのは9月下旬でしょう。
進行状況は逐一ブログとTwitterでお伝えしていきます。

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