「日本カメラ」休刊について
今日は雑誌「日本カメラ」休刊のニュースが駆け巡りました。
数日前、編集長から携帯に連絡が入ったとき、さすがにショックを受けました。
日本カメラ社には20年前からお世話になっています。写真集は2冊、『PASTORAL』と『Moments on Earth』を出版してもらいました。
そして今年も「月例フォトコンテスト」の審査をやっています。
先日、6月号の講評原稿を書いてアップしたばかりですが、残念ながら原稿はお蔵入りになるとのことでした。
編集部の皆さんは、プロ意識が高い、とても素晴らしい方々でした。会社そのものが消滅してしまうので、これから先、皆さんどうなってしまうんだろう……。
僕の写真集は、若干出版社の倉庫に在庫があると思います。当然4月30日ですべて廃棄処分になるので、吉村事務所で安く購入できないか、今、尋ねています。それが出来たらネットで販売します。
写真文化の衰退、そしてコロナ禍……。何だか近頃、色々なことがイヤになってきた……。ホント、イライラし、ストレスが溜まります。
今は、いいものを残していくことが出来ない時代なのです。「紙」という文化は、誰もが素晴らしいと思っているのに、どんなに頑張ってもそれを後世に伝えていくことが出来ない。近い将来、すべての紙の雑誌や出版物が消えてしまうのかもしれませんね。
おそらく小さな子どもたちはタブレットで絵本を見るようになるでしょう。「紙」を残そうと思っても、残していくことができないのです。
「カメラで写真を撮る」から「スマホで写真を撮る」に移り変わってしまったので、「日本カメラ」は部数を落としていたのかもしれません。
紙の雑誌は、企業からの広告収入で成り立っています。ここ数年、写真雑誌には広告がほとんど入らなくなっていました。
では、企業の広告宣伝費はどこに行ってしまったかというと、その多くが若手のインフルエンサーたちに流れているのです。つまりYouTubeをはじめとするSNS。ユーチューバーのチャンネル登録者数5万人、10万人という数字は、紙の雑誌の発行部数よりも多いわけであり、当然企業はそちらの方にお金を使いますね。
女性誌も軒並み休刊になっていますが、ファッションやコスメなどの広告宣伝費は、その多くが若いインフルエンサーたちに支払われるようになっています。
20代、30代の若者たち、特にYouTuberたちは、企業案件の仕事は毎日山ほど舞い込み、中には億単位で稼いでいる人もいる。チャンネル登録5万人のYouTuberたちだって、月50万+企業案件の収入が入るわけであり、月100万以上稼げれば、生活していく分には十分です。
その半面、従来通りの方法、つまり「紙」に拘ってきた多くの人たちは誰もが苦しんでいる……。
プロ写真家を含む多くの写真関係者は、今後厳しくなっていくでしょう。
このような冬の時代が来ることを、少しは予測していました。だから自分で生きていける手段、「清里フォトギャラリー」を立ち上げたのです。結果としてうまくいかなくなり実店舗は閉じてしまいましたが、はじめたことは後悔していません。
時代はもっと緩やかに移り変わっていくものだと思っていました。でもコロナ禍によって、色々なことが一気に移り変わってしまった。
さて、自分はこの荒波をどう乗り切るか、ですね。
強い意志があれば運命は変えられる、という言葉を信じて生きていきたいです。