写真展06日目 出会い 感謝
写真展は残り2日となりました。
明日の最終日、9時30分からライブ配信を行います。カメラを持って会場内を巡り、20分間のギャラリートークを行います。
会場OPENは10時からです。クローズは15時まで。15時ぴったりにドアが閉まり、業者さんが撤収作業に取り掛かります。
今日は雨でしたが、会場内には常に2〜10人ほどいる状況が18時まで続きました。
今回、作品集はたいへんよく売れました。完売の本が多いです。夕方、『スペインの最も美しい村』が売り切れになりました。
デビュー作『プリンス・エドワード島』や『Sense of Japan』『ローレンシャンの秋』などの写真集の絶版は仕方のないことだと思っています。しかし、エッセイ集に関しては可能な限り残していきたいです。なぜなら写真家の「言葉」だから。
『朝の光とともに、世界を巡る旅がはじまる』は、在庫が稀少のため、今回写真展の会場には並べませんでしたが、やはり重版を検討します。
正直言って、出版社にとって、重版は「博打」みたいなものです。
オフセット印刷は、重版といえども新しい刷版を用意しなければいけないし、インク代、紙代がかかります。今、原油高で紙代は1.4倍です。
100部、200部ではペイできません。最低でも1000部は刷る必要があります。じゃあその1000部が売れるかというと、かなり厳しい。ごっそり売れ残り、大赤字、ということもありえるのです。
1部から重版できるオンデマンド印刷というのがありますが、コストが高いので、定着はしていません。ちなみにこの1冊1,800円の本をオンデマンド印刷でやると、1冊7,000円くらいになります。
ちなみに、吉村の本でずっと版を重ねているのは、『あさ/朝』のみです。年に一度は1500部の重版が掛かります。おそらく出版社にとって、1500部というのがギリギリの採算ラインなんでしょう。
谷川氏と半分半分なので、振り込まれる印税は8万円くらいですが、毎年決まった額の入金があるのは嬉しいです。
おそらく『あさ/朝』の重版は、一生続くような気がしている。吉村の年金は月7万くらいだと思うので、老後の定期収入は大切です。
会場が都心のど真ん中、四谷ということもあり、仕事関係の人たちが立ち寄ってくれます。20代の頃にお世話になって、30年以上ご無沙汰してしまっている何人もの方とお会いしました。
写真展会場内で少しお話し、別れるのですが、もう一度何か仕事を一緒にやってみたいと心の底から思いました。
やはり50を過ぎると、人との出会いがとても貴重なものに感じてくるのです。
今後、人との出会いがあったとしても、一緒に仕事をしたり、友達関係になったりするのはほんのひと握りの人。だからこそ、今までの人生で出会った人を大切にしていきたいと思うようになってきました。
先日、ある方と食事をしたとき、「このトシになって親友というのはできるだろうか」という話になりました。
まず、新しい出会いが少なくなる。仮に出会いがあっても、親友まではいかないような気がする。よって、死ぬまでに親友を作るのはまず無理だろう、という結論に達しました。
今回、写真展を訪れる方に、「吉村さん、この2年間、本当によくがんばりましたね!」と言われます。
僕もまったくその通りだと思います。
海外をテーマにしている写真家だったので、全く動きが取れないとなると、写真家であり続けるのは無理だと思っていました。でも、奇跡的にまだ写真家でいるのです。
この2年間を振り返ってみると、仕事と言えば、フォトコンテストの審査、リコーGR×アルファロメオ、カレンダー「Seasons of Splendor」くらいでした。
2年間サバイブすることが出来たのは、やはり政府の給付金や支援金によるところが大きいです。「萌木の村」での人物写真展、「ジュンク堂書店」の案内状代と、文化庁のアート事業支援金も取得しているので、トータルでかなりもらっている。
これがなかったら、今、100%写真家ではないし、法人としての継続も厳しかったでしょう。
だから政府には心から感謝しているのです。日本政府は本当に素晴らしい。
コロナが終息に近づき、今、スタートラインに立っている気分です。
来月、スイスに行き、帰ってきたら北海道にも行き、その後、カナダにも行く予定です。今年はとにかく動きます。
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