ありのままを撮る
今日もハッピードリンクショップの撮影です。
まずは朝日村へ。その後、三才山トンネルを通って上田へ移動し、撮影を行います。
住宅街の中にある自販機の場所がわからず途方に暮れていると、向こうから郵便配達の方がカブに乗りやって来ました。早速尋ねてみると、場所は即座に判明した。郵便屋さんはやはりプロフェッショナルですね。
日本で一番凄い企業は郵便局かもしれない、と思うことがあります。郵便局は、どんな田舎の小さな村にもあります。そして職員さんがいて、9時から5時は必ず営業している。海外では考えられません。地方の郵便局はいつ開いているかわからない状態。早めにクローズしてしまうこともある。
今日は夕方までに8店舗撮影することができました。高崎を経由し、いったん東京に戻ります。
自動販売機が駐車場にあり、自販機の前にたまたま車が停まっていたとします。
皆さんは、「邪魔だな…」と思うかもしれませんが、僕は「おっ、運がいい」と考える。そして車を入れた状態で撮影を行います。
どんな被写体でもそうです。例えば写真集『Sense of Japan』のP56の作品。神殿の前に車が停まっていたので、ありのままの状態で撮影しました。だからこそ「作品」になったのです。
もちろん、何から何まですべて撮ればいいというわけではありません。
たとえば美しい花畑があったとします。手前に、ゴミやタバコの吸い殻が散乱していたとする。この場合、僕は花畑だけを撮ります。何故なら、ゴミやタバコの吸い殻を入れても「風景作品」にはならないと思うから。ドキュメンタリー写真の分野ですね。
僕がフォトコンテストで審査員を務めると、面白いことに、美しい風景の中に電柱や軽トラックなどが入った作品の応募が寄せられます。吉村はそんな作品を好んで賞に選ぶとわかっているからでしょう。
もちろん、よくある風景よりも一工夫ある作品の方が賞に輝く確率は高まりますが、でも、「ただ撮っただけ」という作品では弱いのです。
どんな被写体でも、最低限、構図の計算は必要になります。あと作品から撮影者の意図が伝わってこないと、たとえ電線や軽トラックを入れて撮ったとしても入賞は厳しいです。