駅に行き、登山鉄道のキップを買います。ゴルナーグラートまでの往復は92スイスフラン(16,000円)でした。
各駅と直行があったので、直行に乗ります。列車は超モダン。街中に走っている路面電車とまったく同じです。
乗客は、8割がスキー客で残りが観光客です。中国人と韓国人が多い。中国人は、カナダグースを着て、SONYの一番高いカメラを持っているので、すぐにわかります。皆さん、本当にお金がありそう。
ちなみに、ツェルマットには、日本人橋というのがあります。90年代、日本人観光客が集まり、マッターホルンにカメラを向けていたからそう呼ばれるようになったのでしょう。
登山鉄道はアプト式なので、急な山の斜面を力強くのぼっていきます。マッターホルンが迫ってくる。車窓からの眺めは結構感動しました。
30分程走ったでしょうか。終着となるゴルナーグラート駅に到着。
マッターホルンが目の前に聳え立っています。確かに素晴らしい眺め。
早速写真を撮ります。来年、もしカレンダーを作るとしたら、1月の写真は決まりですね。
列車で乗り合わせたスキー客はすぐに斜面を滑って行ってしまったので、展望台に残ったのは20〜30人ほど。静かです。
ツェルマットの街中は幻滅しましたが、ここだったら許せる。今回、思い切ってスイスに来てよかった、と心の底から思いました。
1時間ほど過ごした後、各駅に乗って一つ下の駅へ移動します。ここからの眺めも素晴らしい。
風はなく、とても穏やか。むしろ暑いくらいです。ユニクロのヒートテックを着てきたことを後悔します。ダウンジェケットの中は汗だくです。
写真を撮った後、岩に腰かけ、マッターホルンを眺めながら、コープで買ったおにぎり(1個900円)を食べました。
絶景を独り占め。最高の贅沢です。
お昼過ぎ、ツェルマットに戻ります。
3時間ほど街中を歩きました。
皆さん、スキー靴を履いて、ガチガチと音を立てながら街中を歩いています。つまりこのエリア一帯が、冬はスキー場になるんです。ツェルマットのことをようやく理解できました。
街中は、ホテル送迎用の箱形電気自動車がビジュンビュン走っているので、危なっかしくて見ていられない。道を歩くだけでストレスが溜まります。何だかアジアの街中の雰囲気に似ています。
ツェルマットは「ザ・観光地」なので、メインストリートを中心に、ショップやレストラン、バーが軒を連ねています。有名ブランドショップもある。スイスだけあって時計屋さんも多い。おっ、このブライトリングの赤いのいいじゃん、と思い価格を見たら100万円以上した(笑)
このような観光地で高級腕時計っていったい誰が買うんだろう…と思いますが、店内は結構混んでいるんです。どんどんと売れていく。
日本の観光地も、ゆくゆくはこうなっていくでしょう。銀座にあるような高級店が次々と進出してくる。信州では、まず白馬がこうなりますね。
今日もまたコープに立ち寄り、カレーと生野菜とオレンジジュースをテイクアウト、夕食としました。レストランに入ると1万円以上はいくので、節約できるところは節約する。
今の時代、海外取材はお金が掛かって大変ですが、2回の取材を1回にしたと思えば、まだ気分が楽になります。
二人の旅が一人になった、と思うことも大切です。
80〜90年代の風景写真家って、みんな億単位で稼いでいたので、海外取材は2〜3人のアシスタントを連れていくのが常識だった。重いカメラやレンズは、写真家は絶対に持たなかった。撮るときだけ、アシスタントから「先生、どうぞ」とカメラを渡され、シャッターを切っていたのです。
僕は今まで、アシスタントと一緒に旅したことは一度もありません。そんな余裕はなかった。
でも、写真機材は重いので、50歳を過ぎたらアシスタントを連れていきたい、と夢見ていたことも事実です。
90年代、1ドル80円くらいの時は、もう一人分くらいの航空券、ホテル代は楽勝で買えた。
でも、こうも物価高と円安が進んでしまうと、アシスタントを海外に連れていくなんてことは絶対に出来ませんね。自分一人も行けなくなる。