パンダの思い出
松本へ移動しました。
何かと話題のパンダですが、僕にもこんなエピソードがあります。
18歳で東京に出てきた吉村青年。印刷会社で働いていたときに、写真家の海老沢アルフレード徹氏と出会いました。
海老沢氏は、パンダ専門の写真家でした。今の時代、パンダの写真家は数百人、自称を含めると数千人いると思いますが、当時は海老沢氏だけだったのです。
「吉村君、写真が好きなら、1日アシスタントをやってみる?」と言われ、ある夏の日、上野動物園の撮影に立ち会うことになったのです。
手伝いといっても、手摺に黒い幕をはる作業をしたくらい、あとは撮影の様子をずっと眺めていました。
後に海老沢氏はNHK出版から『ワンダフルパンダ』という写真集を出版しました。
一冊いただきましたが、本を手にしたとき、僕自身も感動した覚えがあります。
当時、プロの写真家になるのは夢のまた夢で、仮になれたとしても、写真集を出すことは絶対に無理だと思っていた。
数年後、海老沢氏はメキシコに移住されました。もう35年以上お会いしていません。
僕が二十代の頃に書いたエッセイ集には、(例えば『緑の島に吹く風』とか)、友人だったカナダ人のアーサーが度々登場しますが、そう言えば彼もメキシコに移住しました。アーサーとも33年以上会っていません。
メキシコ、いつか行きたいと思っています。
そうそう、『緑の島に吹く風』は、15年前に絶版になりましたが、版権を光文社から吉村事務所に移行してあります。
電子書籍で復刻しようと思ったのですが、残念ながら印刷会社にデータが残っていませんでした。
復刻するとしたら新規で作ることになり、かなりの費用が掛かることから、現在、足踏み状態となっています。