なぜGoogleナビは狭い道ばかり案内するのか
いま、ひとつ悩んでいることがあります。山の中にあるギャラリー「フォト・ヴィレッジ」への道案内です。
白馬方面から車でお越しになる場合、スマホのGoogleナビは、どうしても手前にある細い山道へと案内してしまうのです。この道は軽自動車がやっと通れるほど道幅が狭く、右手はすとんと切れ落ちた急峻な崖。対向車が来てバックで道を譲るとき、ハンドル操作をほんの少し誤っただけでも、取り返しのつかないことになりかねません。
ホームページには「この道は通らないでください」と書いています。それでも、これまでにこの細い道を通ってきてしまった方が2人いました。ナビの案内には、それだけの強制力があるということなのかもしれません。
Googleナビの道案内は、そのまま信じないほうがいい
Googleマップは、地図としては非常に優秀です。ところが、車のナビとして使うと、まったくと言っていいほどダメ。「なぜ、こんな道を選ぶのか」と首をかしげたくなる場面が多い。とりわけ困るのが、車1台がやっと通れるような細い道や、住宅街の路地へ平気で案内してしまうことです。
理由のひとつは、Googleナビが「できるだけ早く到着するルート」を強く重視している点にあります。
たとえば、広い幹線道路が少し渋滞していて、住宅街の裏道を使えば数分早く着けると判断した場合、Googleナビは迷わずその狭い道を選びます。道幅、対向車とのすれ違いやすさ、ガードレールの有無といった「実際に運転する人が肌で感じる走りやすさ」よりも、距離や予想所要時間のほうが優先されてしまうのです。
ドライバーからすれば、2〜3分の遅れなど、どうでもいい。それでも、せっかちなGoogleナビ様は、1秒でも早く着く道を選んでしまうのです。

もうひとつの問題は、道路データの扱い方です。
従来の日本のカーナビには、地図データに「車線数」「道路幅」「大型車の通行可否」といった、車で走ることを前提とした細かな属性が登録されています。この情報をもとに、できるだけ走りやすい道路を選ぶ仕組みになっている。Googleナビには、それがありません。
Googleマップは、世界中の道路を扱うサービスです。そのため、日本の住宅街に無数にある「車1台がやっと通れる生活道路」まで、その土地ならではの道路事情として細かく判断するのは難しいのでしょう。地図上では、こうした道も一般の通行可能な道路として扱われてしまいます。世界共通の仕組みである以上、日本だけに合わせたきめ細かなナビゲーションには限界があるのだと思います。
また、Googleナビには、致命的ともいえる問題があります。
目的地までのルートを検索すると、まず3本ほど候補が表示されます。「こっちのルートのほうが走りやすそうだな」と考え、推奨ルートではない別の道を選んで案内を始めるとします。ところが、しばらく走っていると、いつの間にか、選んだはずのルートとはまったく違う道を走っていることがあるのです。
これは、Googleマップの「自動リルート」によるものです。
Googleナビは、案内を始めたあとも、周辺の交通状況や所要時間をリアルタイムで再計算し続けています。選んだルートで信号に一度引っかかったり、前方の流れが少し悪くなったりすると、「こっちの裏道なら30秒早く着ける」と判断し、こちらの意向などおかまいなしに、勝手にルートを変更してしまうのです。
「おいおい、ちょっと待ってくれよ。この道を走りたいから、このルートを選んだんだぞ」と、思わず声を上げたくなる。
残念なことに、いまのGoogleマップには、この「自動リルート」を完全にオフにする設定がありません。
Googleナビに求めたい、4つのこと
私がGoogleナビに求めているのは、次の4つです。
1. 車幅と道幅を考慮したルート案内
車1台がやっと通れる生活道路ではなく、できるだけ幹線道路や走りやすい道を優先してほしい。せめて「幹線道路優先」という設定があるだけでも、状況はかなり改善するはずです。
2. 自動リルートの完全オフ
自分で選んだルートには、それを選んだ理由があります。それを、数十秒早くなるというだけで、走行中に勝手に変えられてしまう。これはユーザーにとって、ただただ迷惑な機能です。自分で選んだ道は、最後までそのまま案内してほしい。
3. 交差点の拡大イラスト表示
複雑な交差点や、右左折専用レーンのある場所では、地図を眺めただけでは判断しづらいことがあります。交差点を大きく拡大し、実際の道路形状に合わせて表示してくれれば、運転中の安心感はまるで違ってきます。
4. 高速道路のサービスエリア情報
トイレ、ガソリンスタンド、レストラン、コンビニ。どんな施設があるのかが事前に分かれば、長距離ドライブでは本当に助かります。
この4つは、日本のカーナビでは以前から当たり前のように実現されてきたことばかりです。
Googleマップに、仮にこの4つの機能が備わったらどうでしょうか。日本のカーナビを凌駕する「最強のナビ」が誕生すると思います。もはや、ほかのカーナビを使う理由がなくなるはずです。
いずれにしても、現段階では、Googleナビの道案内を過信しないほうがいい。地図としては優秀でも、車のナビとして使うときは、案内されたルートをそのまま信じるのではなく、「本当にこの道でいいのか」と、自分の目でも確かめながら使うことをおすすめします。
Googleナビ以外はどうか
多くの人が使っている「Yahoo!カーナビ」は、Googleナビよりも、車のナビとしてしっかり考えられている印象があります。自分の車を登録できるため、車両の大きさなどを考慮したルート案内が期待できます。
実際、私のギャラリーへ白馬方面から向かう場合も、Googleナビのように、手前から細い山道へ入っていくルートを案内することはありません。
ただ、Yahoo!カーナビにも不満があります。使い勝手の部分です。
Android Autoで有線接続すると、スマートフォン側を自由に操作できなくなってしまいます。安全性への配慮なのだと思いますが、目的地を変更したり、ルートを再検索したり、細かな操作をしたいときには、できればスマートフォン側で行いたい。

実は私は、「COCCHi(コッチ)」を月額400円で課金して使っています。COCCHiは、パイオニアが開発したスマートフォン向けのカーナビアプリです。Googleマップのような地図アプリというより、従来のカーナビに近い発想でルートを選ぶのが特徴です。
目的地を設定すると、「推奨」「推奨2」「一般道優先」「安」「広」「早」といった複数のルート候補が表示されます。そのなかで、私がいちばん注目しているのが「広」というルート。「広」は、単純に最短距離や最短時間を優先するのではなく、幹線道路を優先しながら、道幅と所要時間のバランスを考え、できるだけ広い道を選んでくれるのです。これこそ、まさに私がGoogleナビに求めていた機能でした。
スマートフォン向けカーナビとしては、私にとって最強だったCOCCHi。しかし、残念なことに、2026年11月でサービスを終了することになりました。
その理由は発表されていませんが、なんとなく想像はできます。
今年6月、パイオニアは「COCCHi for Automotive」という新しいサービスを始めました。Google搭載の新型「MAZDA CX-5」に提供されたことが、記憶に新しいところです。これは、これまでのように個人ユーザーがスマートフォンで月額料金を払って使うカーナビとは違い、自動車メーカーの車載システムにナビ機能を提供するサービスです。
つまり、パイオニアは、スマートフォン向けのBtoCビジネスから、自動車メーカーを相手にしたBtoBのビジネスへと軸足を移した、ということでしょう。月額400円ほどの個人ユーザーを相手にするより、自動車メーカーにナビゲーション技術を提供するほうが、ビジネスとして大きな可能性がある。会社として、そんな判断があったのではないでしょうか。
今後、どうするか──
「Yahoo!カーナビ」に戻すか、トヨタの「moviLink」にするか。それとも、課金して「NAVITIME(月額1,200円)」を使うか。
もう一つ気になっているのが、オットキャスト(Ottocast)です。これはスマートフォンの画面を車載ディスプレイにミラーリングし、スマホで使っているアプリをそのまま車の画面に表示できるものです。製品によっては、車載ディスプレイからスマホ画面をタッチ操作することもできます。
もしかすると、これが一番自分の使い方に合っているのかもしれません。
https://amzn.to/4gb3IEt
これから数カ月かけて、それぞれのナビを実際に使いながら検証してみようと思います。その結果は、またこのブログで報告します。